研究 Research

臨床研究について Clinical Research

循環器研究における人工知能(AI)

医療リアルワールドデータを利活用した医学知識発見

現在のevidence-based medicine(EBM)のコンセプトは複数のランダム化比較試験(randomized controlled trials、RCT)のメタ解析を重視し、診療ガイドラインを通して医療の標準化に貢献してきましたが、(1)RCTの対象患者とリアルワールドの患者背景の差異、(2)治療介入の時代による変遷と複雑化、(3)RCTに要するコストの増大、などの制限も大きくなっており、電子カルテに保存されている医療情報(リアルワールドデータ)を利活用する観察研究の役割が注目されています。
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」は、医療版Society 5.0の実現を志向し、的場哲哉が研究開発責任者を務める「臨床情報プラットフォーム構築による知識発見拠点形成」(テーマA-1、2023-2027年度)では、電子カルテ情報、循環器部門システムの情報、患者のPHR情報を複数施設において統合する、13施設からなる臨床情報プラットフォームを共有するリアルワールドデータ拠点を形成し、集積したリアルワールドデータの分析から、リアルワールドにおける医学知識の発見を推進しています。

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循環器研究における人工知能(AI)の活用

医学研究におけるデータ解析は、これまで主に統計学的手法に基づいて行われてきました。近年、人工知能(AI)が社会的に広く普及するなかで、循環器研究においても、従来の統計学的解析に加えて、機械学習や深層学習を用いたAI解析の活用が広がりつつあります。循環器領域では、心電図や心エコーなどの生理学的検査、心臓CTをはじめとする放射線画像、臨床情報など、多様なマルチモーダルデータが日常診療で蓄積されています。これらのデータをAIによって解析することで、疾患の診断、リスク層別化、治療方針の検討に役立てる研究が進められています。
当研究グループでは、九州大学工学部システム情報科学分野と連携し、循環器疾患に関する臨床データや画像データを用いたAI研究に取り組んでいます。一例として、CCTI-CALC Registryに登録された心臓CT画像を活用し、冠動脈疾患に対するカテーテル治療の計画や治療方針の選択を支援するAIモデルの開発を進めています。本研究の進展により、治療前の画像情報をもとに、個々の患者さんに適した治療戦略の検討に役立つことが期待されます。

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