研究 Research

基礎研究について Basic Research

高血圧・循環調節

研究室紹介

九州大学循環器内科において、高血圧・循環調節領域の研究の歴史は古く、同門の荒川規矩男先生(福岡大学第二内科 初代教授)や、当科第二代教授 竹下彰先生、同門の今泉勉先生(久留米大学 心臓・血管内科 第三代教授)が日本高血圧学会の会長をお務めになるなど、当科は国内外の高血圧研究の発展に大きく寄与してきました。
現在の当研究室の礎は、廣岡良隆先生(現・国際医療福祉大学教授)によって築かれ、2017年より篠原が研究室主任を務めております。

2024年度 研究室メンバー

脳を介した多臓器連関による循環・代謝調節

血圧や心拍出量、体液量といった循環調節やそれに関連する代謝調節において、自律神経系を中心とした神経調節が重要です。脳は、末梢からの様々な入力を受け、その情報を統合・調節し、自律神経系(交感神経系の出力)を規定しています。様々な脳への入力から全身への循環・代謝調節につながる機序ついて、以下のような基礎研究を進めています。

主な研究プロジェクト

脳内および全身のレニン・アンジオテンシン系による循環制御に関する研究

高血圧および心不全の発症・進展に交感神経活動亢進が重要な役割を果たしています。レニン・アンジオテンシン系は脳内にも存在し、循環調節に関わる脳神経核のAT1受容体の活性化によって交感神経活動亢進が引き起こされます。我々は、高血圧、高血圧性心臓病、心不全における末梢(心臓や循環血液)と脳内レニン・アンジオテンシン系との連関に着目し循環制御研究を進めています。

高血圧・心不全における腎デナベーション治療機序に関する研究

腎交感神経を除神経する腎デナベーション治療が、高血圧や心不全を含む循環器疾患に対して有効であることが期待されていますが、その治療機序は十分に解明されていません。腎交感神経は求心路と遠心路から成り、求心路の除神経は脳を介して全身の交感神経出力を抑制する可能性があります。我々は、高血圧や心不全における腎交感神経求心路の役割に着目し、腎デナベーション治療機序の解明に取り組んでいます。

がんによる心機能低下やカヘキシー進展ならびに敗血症における
脳内ミクログリアの役割に関する研究

がんの進行に伴い、食思低下や筋萎縮などの多臓器障害をきたすカヘキシーの状態となります。がんカヘキシーの予後は不良であるにもかかわらず、その病態の詳細は不明な点が多く、有効な治療法は確立されていません。がんカヘキシーは慢性的な全身炎症の状態といえ、全身炎症は脳内ミクログリアを介して脳内炎症を引き起こすことが知られています。脳内炎症が交感神経系や摂食・代謝の調節に関与することが示唆されていることから、我々はがんによる心機能低下やカヘキシー進展における脳内ミクログリアの役割に関する研究を進めています。また、敗血症における交感神経活性化の機序としても、脳内ミクログリアに注目しています。

心肥大における心脳連関を介した交感神経活性化機序に関する研究

心肥大の進行と交感神経出力増加は相関しており、交感神経出力の増加が主に心臓βアドレナリン受容体刺激を介して心肥大をもたらすことはよく知られていますが、心肥大において交感神経出力が増加する機序は解明されていません。我々は心臓求心性交感神経ならびにその入力を受ける脳での交感神経出力調節に着目し、心肥大における心脳連関を介した交感神経活性化機序の解明を行っています。

高血圧の発症・進展における脳血管周囲マクロファージの役割に関する研究

高血圧の患者・モデル動物において血中の炎症性サイトカインが上昇しており、高血圧と全身慢性炎症の関連が示唆されています。血液脳関門に存在する脳血管周囲マクロファージは、血中サイトカインをモニターし脳実質へ末梢の炎症情報を伝達することで神経体液性因子の活性化を引き起こします。我々は脳血管周囲マクロファージが交感神経活性化を介した高血圧症の発症・進展に寄与することを報告しました。
本研究論文は、第11回Hypertension Research Award最優秀賞に選ばれました。

妊娠高血圧腎症の既往と食塩感受性に関する研究

妊娠高血圧腎症の妊娠中における血圧上昇は出産後に正常化するにもかかわらず、妊娠高血圧腎症の既往は将来の高血圧および心血管疾患発症のリスクを高めます。本症の既往女性は食塩感受性が亢進していますが、その機序は不明です。我々は妊娠高血圧腎症モデルを用いて、出産後における脳での過剰なバソプレシン産生および分泌が食塩摂取による血圧上昇に寄与していることを明らかにしました。

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