診療グループ Expert team

診療 Treatment

成人先天性心疾患

成人先天性心疾患診療

100人に1人は、先天性心疾患を持って生まれるといわれています。先天性心疾患とは、生まれつき心臓や大血管の形や働きに異常がある病気の総称です。
近年は、小児期の心臓手術や集中治療の進歩により、多くの患者さんが成人期を迎えられるようになりました。現在では、日本国内の先天性心疾患患者さんは、小児よりも成人の方が多い時代となっています。また、若年成人だけではなく、壮年期・中高年期を迎える患者さんも増えています。一方で、手術や治療によって症状が安定していても、多くの場合は完全に「治癒」したわけではありません。成人期に不整脈、心不全、弁膜症などの遠隔期合併症が見られることもあり、成人後も継続した専門的フォローアップが重要です。
当科成人先天性心疾患診療グループでは、先天性心疾患修復術後の遠隔期合併症、遺残症に対する診療に加え、成人期特有の生活習慣病の管理、さらに就業・妊娠・出産などのライフステージに応じた支援を行っています。小児循環器科、心臓血管外科と定期的にカンファレンスを行い、患者さん一人一人に最適な治療方針を検討しています。また、肝臓疾患・婦人科疾患など心臓以外の問題についても院内他科と密接に連携しながら包括的な診療体制を整えています。
患者さんの約半数は福岡市立こども病院からの成人移行された方々ですが、2009年の診療グループ設立以来、のべ2000人を超える成人先天性心疾患患者さんの診療に携わってきました。当院での専門診療に加え、患者さんがお住まいの地域の医療機関とも綿密に連携し、生涯にわたる安心できる成人先天性心疾患医療の提供を目指していますの先生方と綿密に連携をとることでより良い成人期先天性心疾患医療を目指しています。

カテーテル治療

成人期に診断される先天性心疾患として、心房中隔欠損症や動脈管開存などがあります。近年では、これらの疾患に対して胸を開かずに行うカテーテル治療が広く行われるようになり、患者さんの身体的負担を軽減できるようになりました。
また、複雑先天性心疾患の患者さんでは、生涯の中で複数回の心臓外科手術が必要となることがあります。近年はこうした患者さんに対する構造的心疾患治療においても、カテーテル治療が重要な選択肢となっています。当院では患者さん1人ひとりの解剖学的特徴やこれまでの治療歴を踏まえ、外科治療とカテーテル治療の双方を含めた最適な治療方針を検討しています。
不整脈診療については、当科不整脈チームと密接に連携し、カテーテルアブレーション、ペースメーカーなどのデバイス治療にも対応しています。成人先天性心疾患患者さん特有の複雑な解剖や術後心房性不整脈にも、専門的な知識と経験を持って診療を行っています。

2025年度のカテーテルインターベンション実績
経皮的心房中隔欠損閉鎖術 18例
カテーテルアブレーション 10例
ペースメーカー等デバイス治療 6例
コイル塞栓術 14例
経皮的卵円孔閉鎖術 4例
経皮的肺動脈弁形成術 5例
経皮的肺動脈弁置換術 2例

当院でのフォンタン手術後の方への診療

心臓には本来全身へ血液を送り出す「左心室」と肺へ血液を送る「右心室」という2つのポンプがあります。しかし、先天性心疾患のなかには、生まれつき心室が1つしかない病気があります。このような患者さんに対して行われる代表的な手術が「フォンタン手術」です。フォンタン手術では、1つの心室を全身へ血液を送るポンプとして使い、静脈の血液が自然に肺へ流れるよう循環を作り変えます。これにより酸素不足によるチアノーゼの改善や息切れなどの症状軽減が期待できます。現在では多くの患者さんが成人期を迎え、社会生活を送れるようになっています。
一方で、フォンタン循環は特殊な血液の流れで成り立っているため、成人後も継続的な専門診療が重要です。弁逆流、不整脈、ペースメーカー治療といった心臓の問題に加え、肝臓・腎臓・消化管などの全身の内臓への影響や血栓予防のにも注意が必要です。
当院では400名近い成人フォンタン術後患者さんを継続的に診療しており、地域の医療機関と連携しながら長期フォローアップを行なっています。また、循環器内科、心臓血管外科、小児循環器科といった心臓関連科だけでなく、肝臓内科、産婦人科、画像診断部門など院内他職種と密接に連携し、包括的な診療体制を整えています。

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