当科における指導プログラム Program
九州大学病院重症心不全
研修プログラム
あらゆる心疾患の終末像である心不全の中でも、植込型補助人工心臓(LVAD)や心臓移植を必要とする重症心不全の診療には、高度かつ多岐にわたる専門的な知識や技術を必要とします。
わが国では心臓移植実施数が経時的に増加しており、2023年は初めて全国で100例を超えました。植込型LVADについては、2011年より心臓移植待機中に限り利用されてきましたが(bridge to transplantation, BTT)、2021年から長期在宅治療(destination therapy, DT)が保険適応となり、患者数の増加とともに、治療適応となる患者像も多彩となっています。また、急性心筋梗塞や劇症型心筋炎に伴う心原性ショックに対する急性期機械的補助循環(MCS)においては、ECMOやIMPELLAを始めとするデバイスの進化とともに、その管理方法にも急速な進歩が見られています。
そのような背景の中で、重症心不全を適切に評価・治療できる医師は全国的にまだまだ少なく、今後ますます必要とされることが予想されます。九州大学病院は2023年の心臓移植手術数が16例、新規LVAD装着手術数が21例といずれも過去最高の実施数となり、国内有数の重症心不全治療センターとして、九州を中心に西日本各地から患者を受け入れています。このたび、九州大学病院における重症心不全診療を現場で実践的に学んでいただくための研修プログラムを立ち上げました。
本プログラム参加者(以下、研修生)は、九州大学病院の入院・外来診療において超急性期から慢性期、終末期に至るまでシームレスな重症心不全診療を経験することを目的としています。
研修生は、内科・外科の垣根を越えて診療に従事できること、重症心不全診療以外のdutyを極力減らし希望する研修に集中できることが本プログラムの特徴です。研修生が希望する研修内容が明確な場合は、可能な限り希望に沿った内容を用意することが可能であり、自由度の高いプログラムです。
経験できる内容
例 循環器内科医の場合(個人の希望する研修内容により異なります)慢性心不全診療
- 二次性心筋症の鑑別(画像検査、心筋病理、遺伝子検査、疾患特異的検査)
- 最新のエビデンスに基づく心不全治療薬の適切な使い方
- 静注および経口強心薬の使い方
- 運動耐容能評価と適切な心臓リハビリテーション
- 心不全非薬物治療としてのICD/CRT、MitraClipの適応
- 植込型LVADの適応
- 心臓移植の適応と移植登録申請
- Advance Care Planningと心不全緩和ケア
急性心不全・心原性ショック診療
- 経皮的補助循環の適応と管理(VA-ECMO、IMPELLA、IABP)
- 劇症型心筋炎に対する適切な治療
- 開胸を要する補助循環の適応と管理(central ECMO、体外設置型LVAD/BiVAD)
植込型LVAD診療
- 植込型LVAD手術後の急性期管理、回転数設定
- 植込型LVADに関する地域連携、チーム医療
- 植込型LVAD遠隔期管理(主に外来)、合併症管理
(主に入院) - DTにおける終末期管理
心臓移植診療
- 心臓移植待機中の患者管理
- ドナーコール時の対応、ドナー評価
- 心臓移植手術周術期の患者管理、導入療法
- 心臓移植手術後の免疫抑制療法と合併症の管理
- 拒絶反応の診断と治療(心筋生検、その他)
- 心臓移植後遠隔期の合併症予防と治療
その他
- 症例報告作成・臨床研究の遂行、国内外の学会発表、論文作成
- 日本臓器移植ネットワークメディカルコンサルタントの経験
- 臓器摘出手術や臓器搬送の経験
- 重症心不全患者の往診、他院とのネットワーク形成の経験
- 植込型補助人工心臓管理医、人工心臓管理技術認定士などの資格取得
研修終了後の進路など
本プログラムで学んだことを活かし、自施設における心不全診療に貢献することが期待されます。その他、当院もしくは全国の重症心不全センターにスタッフとして勤務するという選択肢もあります。研修を通じ、九州大学病院のスタッフおよび重症心不全に関わる全国の施設のスタッフと交流できることは大きな財産になります。
募集要項
| 応募資格 |
循環器診療における基本的な知識を持ち合わせた循環器内科医もしくは心臓血管外科医で、急性期MCS、植込型LVAD、心臓移植に関する知識と技術の習得を希望する者。 |
|---|---|
| 募集人数 |
若干名 |
| 待遇 |
九州大学病院循環器内科もしくは九州大学大学院医学研究院重症心肺不全講座に所属し、規定の給与が支給されます。 |
| 期間 |
1年間のプログラムを基本としますが、希望により期間延長や短期間の研修も可能です。 |
| 問い合わせ |
本プログラムに関する質問や相談があれば、いつでもご連絡ください。 九州大学病院循環器内科、
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