臨床研究について Clinical Research
成人先天性心疾患
フォンタン術後患者の成人期薬物治療の標準化に資する研究
福岡市立こども病院と連携し、フォンタン手術を受けた患者さんの小児期から成人期までを一貫して追跡するシームレスなデータベースを構築しています。フォンタン循環は複雑先天性心疾患に対して行われる高度な手術であり、多くの患者さんの生命予後や生活の質改善に大きく貢献してきました。一方で、成人期以降には、肝臓・消化管・腎臓など心臓以外の臓器への影響が見られることがあり、長期予後については未だ十分に解明されていない課題も残されています。
当院では、長期フォローアップで得られる臨床データを基盤として、フォンタン循環の病態解明や新たな治療戦略の開発に取り組んでいます。現在は、将来的な多施設共同前向き研究を見据えた研究体制の整備を進めています。
運動がフォンタン術後患者に及ぼす影響を心臓MRIと心臓カテーテル検査を
用いて評価する研究
フォンタン術後患者さんでは、運動時の血液の流れや心臓の反応が患者さんごとに大きく異なり、まだ十分にわかっていない点が多くあります。安静時の心臓MRIや心臓カテーテル検査で大きな異常が見られなくても、運動時には心臓や血流の反応が不十分となり、息切れや運動耐容能低下につながることがあります。そのため、運動時に体の中で何が起こっているのかを詳しく評価することは、薬物治療や外科治療の適切なタイミングを判断する上で非常に重要です。当院では、臥位エルゴメーター(横になった状態で行う自転車運動)を行い、運動中の心臓MRIや心臓カテーテル検査を実施しています。これにより、フォンタン循環における運動時血行動態を詳細に解析し、より個別化された診療につなげる研究を進めています。
パーソナルヘルスレコード・患者報告アウトカムを用いた患者教育に関する研究
小児期から成人期への移行期医療においては、医療の主体が保護者や小児医療従事者から、患者自身にかわるというところも大きな意味を持ちます。しかし、先天性心疾患患児の多くが、自身の手術や入院について記憶になく、自身の「健康」について主体的に取り組むことが難しいこともあります。患者さん自身のスマートフォンに、血圧や心拍数、1日歩数や、ご自身の満足度を入力し、それに基づく診察や指導を行うというシステム構築を始めています。