診療グループ

大動脈弁狭窄症〔TAVI, BAV〕

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI / TAVR)

  • 狭心症、失神や心不全症状を呈する重症大動脈弁狭窄症の標準的治療は外科的な大動脈弁置換術ですが、超高齢の患者さんや開心術のリスクが高い方は治療を見送られることも少なくありません。一方、重症大動脈弁狭窄症は薬物療法のみでは非常に予後が不良です。
  • このような手術困難な患者さんに対し経皮的大動脈弁留置術(TAVI / TAVR) が開発され、2013年10月より本邦でも保険償還の運びとなりました。当院では、全国で18番目の認定施設として、2014年1月22日に第1症例を、また2016年3月までに53症例を施行し周術期死亡ゼロと良好な短期成績を得ております。

循環器内科 TAVIチーム
日浅謙一

TAVI の適応

  • 経大腿動脈アプローチ

  • 経心尖部アプローチ

症状のある重症大動脈弁狭窄症を認め、外科的弁置換術が高リスクあるいは手術困難な方が対象となります。具体的には、高度の大動脈石灰化を認める方、冠動脈バイパス術後、食道再建術後の方、併存臓器疾患のため体外循環の使用が困難な方(頸動脈狭窄、肝硬変、慢性肺疾患、悪性腫瘍)、非常に高齢で耐術能の低下している方がTAVIのよい適応と考えられます。

手術方法

  • NYHA心不全分類

  • 大動脈一左室 平均圧較差

現在バルーン拡張型であるSapien XT(Edwards社製)および自己拡張型であるCoreValve(Medtronic社製)の2種類の生体弁が使用できます。鼠径部の大腿動脈からカテーテルを挿入する経大腿動脈アプローチ(TF, trans-femoral)、前胸部に数センチの小切開を行い心尖部からカテーテルを挿入する心尖部アプローチ(TA, trans-apical)、大動脈から挿入する大動脈アプローチ(DA, direct aortic)が可能で、術前検査にて解剖学的評価を行い、患者さんそれぞれに適したアプローチ法を選択します。

当院の初期成績

2014年から2016年3月末までの全53症例における成績は、平均年齢83.7歳(70歳以上が94.6%)、経大腿動脈アプローチ(50%)、経心尖部アプローチ(50%)、手技成功96.2%(1例は左室穿孔の合併症のため外科的大動脈弁置換術に変更)、30日死亡は0%と海外での報告と比較して非常に良い成績と言えます。全例で自覚症状、平均大動脈—左室圧較差の改善を認めております。

TAVIの適応外

左から麻酔科 秋吉・1内 横山・循内 大井・循内 日浅・心外 園田、1内 有田

現時点でTAVIの適応外となるのは以下の例です。
1) 大動脈弁以外に治療を要する弁疾患がある場合
2) 維持透析中の方
3) 他合併疾患による予後が一年未満
現在Sapien XTは20, 23, 26, 29 mmの4種類が、またCoreValveは26 mm, 29 mmの2種類が使用可能ですが、弁輪径によってはTAVIができないこともあります。また、冠動脈閉塞や弁輪部破裂などTAVI特有の致命的合併症があり、これらの危険が高い症例にはTAVIはおすすめできません。
事前に心電図同期CT、心エコー検査等で入念に評価を行う必要があります。TAVIを検討される場合は、当院外来へ一度ご紹介いただければと存じます。転院が必要な場合もいつでもお引き受け致しますのでご連絡下さい。

外来予約:初診専用予約センター 092-642-5508 受付時間 9:00-16:00(平日のみ)

循環器内科TAVI専門外来初診日:月曜日、火曜日、金曜日

転院相談:九州大学病院代表番号 092-641-1151 (循環器内科病棟医長呼び出し)

(日浅謙一)