診療グループ

心不全

正確な診断

原因不明の心機能低下症例に対し、病歴、身体所見と共に心エコー、心臓CT、心臓MRI、心筋シンチ、心臓PET(図1)などの様々な撮画手段、心臓カテーテル検査、心臓の組織の一部を採取し、その組織像から診断や心筋傷害の程度を検討する心内膜心筋生検(図2,3)を施行し、確定診断に努めています。正確な診断をつけることが、その後の治療方針を決定する上で極めて重要となります。また、それによって得られた新規の知見を多数報告しています。

  • 図1:

    心サルコイドーシスFDG-PET像

  • 図2:心内膜心筋生検数

  • 図3:ミトコンドリア心筋症電顕像

あらゆる段階の患者に最適の治療

あらゆる段階の症例に対し、最適な薬物治療、突然死予防のための植込み型除細動器移植、心機能回復のための心臓再同期療法などを行っています。病初期より、冠動脈治療チーム、不整脈チーム、弁膜症チーム、肺高血圧チーム、心臓リハビリテーションチーム、心臓外科および薬剤師、栄養士、理学療法士など多くの専門分野と連携を取り、各患者様に最適の治療を行っています。心肺機能検査(図4)をもとに、積極的に心臓リハビリを行っています(図5)。また、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、精神科医師とも共同し、退院後も安心して在宅通院治療ができるように患者支援を行っています。

  • 図4: 心肺機能検査

  • 図5: 心臓リハビリの様子

Onco-cardiologyへの取り組み

本邦における死因の第一位はがんですが、分子標的剤を中心とするがん化学療法の進歩などにより、がんの治癒率やがん患者の生存率は著明に改善しています。しかしながら、その化学療法には副作用として心血管障害が起こることがあり、問題となっています。そのような状況の中、がん領域と循環器領域で診療科の垣根を越え、連携して診療にあたる腫瘍循環器学(Onco-cardiology)という新たな領域が生まれ、世界的に急速に体制整備が進められています。当院では、臨床・腫瘍外科および消化器・総合外科と連携し、化学療法中の画像診断や心保護療法を行い、がん患者を中心としたチーム医療を実践しています。

重症心不全症例の治療

内科的治療の限界と判断された重症心不全症例に対し、九州の最重症心不全管理センター、植込み型左室補助人工心臓実施施設、心臓移植実施施設として補助人工心臓の適応や管理、心臓移植後の管理までを包括した集学的治療を行っています。

急性期重症心不全症例の治療

急性期重症心不全症例に対して、九州中より(図6)劇症型心筋炎、広範心筋梗塞、末期拡張型心筋症などの心原性ショック症例を365日受け入れ、経皮的心肺補助装置(図7)、体外式補助人工心臓(図8)などによる管理を行っています。2017年には当院ECMO(体外式膜型人工肺)センターが発足し、循環器内科、心臓外科、小児循環器内科、救急部、集中治療部医師、看護師、理学療法士、移植コーディネーター、臨床工学士がチームとして各症例に対し、一丸となって管理を行っています。

  • 図6: 自衛隊協力による患者搬送

  • 図7: 経皮的心肺補助装置症例数

  • 図8: 補助人工心臓症例数

植込み型左室補助人工心臓による治療

2011年に植込み型左室補助人工心臓が保険償還されて以降、従来では強心薬の点滴から離脱が困難であった重症心不全患者さんが退院し、通勤や通学などの社会生活を送りながら心臓移植を待機することが可能となっています。当院ではこれまで72名の方が植込み型左室補助人工心臓を装着され、2年生存率93%と良好な経過をたどり、27名の方は心臓移植を受けられ、社会復帰を果たされています。当院では植込み型左室補助人工心臓の管理を循環器内科医が心臓外科医や看護師、理学療法士、移植コーディネーター、臨床工学士と協力しながら行っており、全国に先駆けた取り組みとして注目されています。植込み型左室補助人工心臓装着中および心臓移植後の患者会も定期的に開催しており、患者様と医療従事者、また患者様同士の交流の場を設けています。これら重症心不全治療を受けられた患者様の長い闘病生活を患者さんのご家族とも向き合い、責任をもって支え、ともに歩んでいくことが当グループの社会的使命と考えています。

心臓移植

2017年には国内で例の心臓移植が行われました。当院では九州で唯一の心臓移植実施施設としてこれまで27例の心臓移植を行ってきましたが、5年生存率は93.3%で、ほとんどの方は社会復帰されています。心臓移植後に生じうる様々な合併症に対応しながら、患者様の社会復帰をサポートしています。

当科へのご紹介について

当科ではあらゆる段階の心不全患者さんのご紹介をいただいておりますが、特に心臓移植の適応となり得る65歳未満の患者さんは積極的にお受けいたします。

また、急性期重症心不全症例に対しては、連絡をお受け次第、速やかに往診に伺い、患者さんや家族への説明、転院調整を行います。急性心筋梗塞や劇症型心筋炎、末期心筋症などの補助人工心臓の検討を要する症例につきましては、可能な限り早期に一報をいただけますと幸いです。電話、メールによる相談、紹介も常時お受けしていますので、ぜひ積極的にご連絡いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

心不全グループ 2018年4月

石丸(レジデント)、井手、大谷、肥後、松島、橋本、篠原

藤野、古澤(レジデント)、筒井(レジデント)、今給黎(レジデント)