診療グループ

虚血(冠動脈疾患・末梢動脈疾患)

虚血グループ概要

  • 虚血グループは冠動脈疾患、末梢動脈疾患を代表とした動脈硬化性疾患の診療を担当します。
  • 画像診断及びカテーテル検査による診断、カテーテルインターベンション、薬物療法を組み合わせた治療を行います。
  • 動脈硬化性疾患の診断と治療に関する臨床研究を推進しています。

2019年1月〜12月カテーテルインターベンション治療実績
待機的冠動脈インターベンション(PCI): 191件
緊急PCI: 30件(うちAMIに対する緊急PCI: 19件)
Rota使用:8件
PTA (EVT): 26件

2020年4月虚血グループ

仲野泰啓(医員、H18年卒、CVIT*認定医)
的場哲哉(講師、H8年卒、CVIT認定医、動脈硬化専門医)
林谷俊児(助教、H9年卒、CVIT認定医)
香月俊輔(医員、H17年卒)
川原卓郎(医員、JCHO九州病院より異動)

*日本心血管インターベンション治療学会

写真:前列左より小野、武内(初期研修医)、後列左より仲野、的場、上徳、香月

トピックス

FFR-CT解析の導入

2019年10月よりFFR-CT検査(冠動脈CTデータの解析によるFFR値)を導入しました。冠動脈疾患の診断は主に外来で行い、冠動脈インターベンションが必要な可能性の高い患者さんに入院・冠動脈造影を受けていただいています。FFR-CTを利用することにより、心筋虚血の状態を解剖学的狭窄と同時に診断でき、入院前により的確な治療方針の検討が行えます。

FFR-CT概要レポート(ハートフロー社より)

心臓カテーテル検査

冠動脈形成術(PCI)症例数

左に近年の冠動脈形成術症例数を示します。年間約200例を安定して実施しています。15%程度が急性冠症候群(Acute coronary syndrome, ACS)に対する緊急施術です。最近1000例の成績では、心筋梗塞症例や慢性完全閉塞病変を含めても血行再建成功率98%を維持し、緊急冠動脈バイパス術(CABG)移行は2例(0.2%)、来院時ショック・心肺停止例を除く急性期死亡は1例(0.1%)でした。薬剤溶出性ステント(Drug-eluting stent, DES)の登場により再狭窄は減少し、10%程度です。大学病院の性格上、多枝病変や左冠動脈主幹部病変など難治病変が多いのですが、堅実な施術を心がけ、きわめて高い安全性と良好な治療成績を納めています

狭心症、心筋梗塞に対する冠動脈形成術、ステント留置術

  • 冠動脈の走行

  • ステント拡大写真(拡張時)

下の図は急性心筋梗塞(下壁梗塞、右冠動脈閉塞)に対する緊急冠動脈形成術の経過です。早期再灌流により心筋ダメージを最少化できれば、心機能および生命予後は大きく改善します。心筋梗塞でも心不全等なければ一週間程度で退院できる場合もあります。

  • 冠動脈造影で右冠動脈閉塞確認

  • バルーン拡張およびステント留置

  • 再開通治療終了

冠動脈インターベンションを支えるモダリティーと難治病変への挑戦

  • 血管内超音波(IVUS):
    血管のサイズや血管壁の性状、石灰化の分布等を観察し、適切な治療戦術と最終的なステント留置に導く補助診断として絶大な威力を発揮します。図では、7時方向の1/4円周にわたり強い石灰化を認めます。

  • ロータブレーター(rotablator):
    血管壁の石灰化が高度になると、バルーンやステントが通過しない場合や、堅くて拡張できない場合があります。ロータブレーターは工業用ダイアモンドのバー(burr)を高速回転で病変を通過させ、堅い病変を削る治療で、難治病変で威力を発揮します。

  • 光干渉断層法(OCT):
    IVUSにくらべ進達度は浅いのですが、解像度が圧倒的に良く、プラークの亀裂や付着血栓等も見えるため、症例によって大きな情報が得られます。図では、ステント留置後に血管壁に良好に圧着している様子が観察されています。

  • エキシマレーザー(ELCA):
    レーザーにより病変組織を蒸散させる治療法で、高度狭窄・閉塞で大量のdebrisが末梢に塞栓する可能性がある場合等に威力を発揮します。

薬剤溶出性ステント

免疫抑制剤を塗布した薬剤溶出性ステント(DES)により再狭窄は激減しましたが、再内皮化が遅延するため血栓症のリスクが長期にわたり、抗血小板薬を中止しにくいという新たな問題がクローズアップされました。最近の第2世代以降のDESは改良により適度に再内皮化が生じるため、抗血小板薬2剤の併用は長くて1年、さらに短くても十分である可能性があります。実際にステント血栓症を来たすことは少なく、DESの使用割合が増加傾向にあります。

末梢動脈疾患の血管形成術

間歇性跛行を来たした左大腿動脈高度狭窄に対するステント留置術

近年、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)などの末梢動脈疾患の患者さんが増加し、末梢血管形成術(PTA)を施行する機会が増えています。血管内治療(EVT)と呼ぶ場合もあります。下肢痛がとれ、歩行が出来るようになると患者さんの生活の質が大きく改善し、大変喜ばれます。まずは下肢の脈拍触知やABI検査により閉塞性動脈硬化症を正しく診断することがとても重要です。腸骨動脈、大腿動脈に加えて、上肢の鎖骨下動脈に対する施術も行います。難治性高血圧症の原因となっている腎動脈狭窄に対しては、腎動脈形成術を行います。

  • 治療前

  • ステント留置

  • 終了時